能 鐵輪 (かなわ)



あらすじ

 若い女に夫を取られ捨てられた女が、貴船神社に丑の刻詣(憎らしい相手の人形に五寸釘を打ち込む古代の風習)をして呪う。社人を通じて、望みのまま鬼になれると神託を告げられ家に戻る。
 一方、男は夢見を気にし、天下一の陰陽師(祈祷師)安倍晴明を訪ねる。晴明は女の恨みと見抜き、男のたっての頼みに必死の祈祷をする。
 果たして女は鬼の姿で現れ、後妻の人形の髪を打ち据え、いざ夫の命をと近寄ると、 守護神に追い払われ、後日を期して消えていく。
 頭に鉄輪(五徳)を乗せ、三本の脚に火をともし、顔に丹を塗り、赤い衣を着て、この世で夫に復讐を果たすべく鬼に変身を遂げた恐ろしい女、の姿……。
 鬼=女というのは能には良く出てくるテーマではあります。

演者から一言

 離婚された恨みを晴らすため毎夜貴船神社に丑の時詣でし、夫を取り殺そうとする女の役。
 謡いも型も工夫次第で色々変えられますし、使う面も「生成り」と言う専用面で、演じる方も面白い曲だと思います。


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